福岡市で考える「墓じまい」と「空き家」問題 ― 子どもたちに負担を残さないために

今朝のテレビをつけると、ニュースで「空き家問題」が取り上げられていました。人口減少や高齢化が進む中、誰も住まなくなった家が全国で増え続けているのだそうです。福岡市のように都会に近い場所でさえも、空き家が静かに佇んでいる光景は珍しくありません。

番組で印象的だったのは、「子どもたちに負担を負わせたくない」と話していたご夫婦の言葉です。住む人がいなくなった家や、遠方にあって管理が難しいお墓を、次の世代にそのまま残してしまうことの不安。彼らは“空き家とお墓を一緒に整理して、自分たちの代で終わらせよう”と決めたのだといいます。

この言葉に、私自身も強く頷いてしまいました。

お墓と空き家、どちらも「残された人」が困る

家もお墓も、共通しているのは「管理する人がいなければ荒れていく」ということです。空き家は草木が伸び放題になり、近隣から苦情が出ることもあります。お墓もまた、掃除や供花が途絶えると、雑草に覆われたり墓石が傾いたりしてしまうのです。

一見すると「まだ大丈夫」と思えることも、時が経てば確実に誰かの負担になります。特に福岡市のように都市部では、次世代は県外や海外へ移り住むケースも多く、なかなか墓参りに来られないご家族も増えているのが現実です。

だからこそ、元気なうちに「墓じまい」を選ぶ方が増えてきているのだと思います。

墓じまいは「別れ」ではなく「感謝」

「墓じまい」と聞くと、どこか寂しい響きがあるかもしれません。先祖を大切にしていないように思われるのでは、と心配される方も少なくありません。

けれど実際には、墓じまいは“先祖に感謝するための行為”だと私は感じています。

例えば、福岡市中央区でご依頼いただいたあるご家庭では、代々のお墓が郊外にあり、長らく誰も手入れできない状態が続いていました。墓石は傾き、雑草が胸の高さまで伸びていたそうです。施主様はその光景を見て「このまま放っておく方が、先祖に申し訳ない」と決心されました。

墓じまいを終え、遺骨を納骨堂に移した後、「これでようやく胸のつかえが取れた」と涙を流されていた姿が忘れられません。それは“終わり”ではなく、“新しい安心”の始まりだったのだと思います。

福岡市でも増える「終活」と墓じまい

今の日本では「終活」という言葉が当たり前のように聞かれるようになりました。エンディングノートを書いたり、遺影を準備したりするのと同じように、「墓じまい」も終活の一環として選ばれています。

特に福岡市のように都市化が進む場所では、昔のように親族が近所に集まって暮らすことが減り、供養の形も変わってきました。

お墓を小さくまとめる方、永代供養墓に移す方、納骨堂や樹木葬を選ぶ方…。それぞれに「家族の事情」と「未来への想い」が込められています。墓じまいは、その選択肢の一つに過ぎません。

子どもに背負わせないという優しさ

今回のテレビ番組で話していたご夫婦が選んだように、“子どもに背負わせない”という考え方はとても現実的で、同時にとても優しいことだと感じます。

「親の墓参りをしなくては」「空き家を処分しなくては」と思いながら遠方に暮らす子どもたちにとって、それは時に重荷となってしまいます。けれど、親の世代が「自分たちで整理しておいたよ」としてくれていたなら、子どもたちは安心して自分の人生に向き合えるでしょう。

それは決して「つながりを断ち切る」ということではなく、「安心を残す」ということなのです。

墓じまい屋さんとしてできること

福岡市中央区にある私たち「墓じまい屋さんやま中」も、日々そうしたご家族のお手伝いをしています。

墓石を撤去する作業は確かに力仕事ですが、その裏にあるのは「人の想い」です。だからこそ、作業のひとつひとつに丁寧さと温かみを込めるようにしています。

お客様の中には、「こんな小さなこと聞いていいのかな?」と遠慮される方もいらっしゃいます。でも、むしろそういう時こそ一緒に悩み、考えたいのです。お墓のこと、費用のこと、将来の供養のこと…。どんなご相談も、安心して話していただける存在でありたいと願っています。

まとめ ― お墓を整理することは「未来の贈り物」

空き家問題と同じように、お墓も「残された人」が直面する現実のひとつです。けれど、それを“先に解決しておく”という選択は、決してネガティブなものではありません。

むしろ、子どもや孫への優しさであり、自分自身への安心の贈り物です。

福岡市に暮らす私たちの生活は日々忙しく変化します。その中で立ち止まり、「未来の負担を減らす」という視点を持つことは、とても大切なことではないでしょうか。

墓じまいは終わりではなく、感謝を込めた新しい一歩。

やま中は、その一歩をそっと支える存在でありたいと思っています。

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